めくるめく数理の世界
情報幾何学・人工知能・神経回路網理論
甘利俊一 著
定価:3,190円

ノーベル物理学賞分野
AI研究で先駆的な成果
を残した
“日本人研究者”
が語る数理の世界

その理論と舞台裏

 甘利先生は現在のAI研究に活用されている情報幾何学の創始者であり、先駆的な研究で世界に知られる神経回路網理論の数学的理論を構築、第一人者として基礎を築いた数理脳科学の分野でも多大な貢献をされてきた。
 これらの理論には密接なつながりがあり、その総括的な解説となる「理論面」と共に第1次AIブームから現在の第3次AIブームまでこれらの研究と理論がどのように絡み合ってAIの発展に寄与してきたのか、その「舞台裏」に迫る。
 激動の時代を生きた甘利先生の65年を超える研究生活を振り返り、その時々の時代背景と考究・情熱を独白的に綴った一冊。 
東京大学名誉教授
理化学研究所・栄誉研究員

甘利 俊一 
定価:3,190 円(本体:2,900円+税)
  
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2024年10月4日開催
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著者

甘利 俊一
65年を超える独創的な研究で世界のAI分野をリードし続けた研究者

  • 情報幾何学の創始
    微分幾何学の手法を用いて確率分布を分析する情報幾何学を創始。この分野は、AI、統計学、信号処理、情報理論、機械学習など多岐にわたる応用がある。
  • 神経回路網の数学的理論の開発
    1967年に多層パーセプトロンの確率的勾配降下法を定式化。この方法は後に誤差逆伝播法として再発見され、ニューラルネットワーク研究の基礎となる。
  • 数理脳科学の確立
    学習理論、自己組織化理論、連想記憶、統計神経力学、神経場理論などを研究し、複雑な神経細胞の集合・脳の機能に数理モデルで迫り、脳の基本原理を数学的に記述する数理脳科学の確立を目指している。
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ノーベル物理学賞受賞の両氏に肩を並べる甘利先生


2024年のノーベル物理学賞は

「人工ニューラルネットワークによる機械学習を可能にする基礎的な発見と発明」

の業績で、J.ホップフィールド教授とG.ヒントン教授への授与が発表されました。

甘利先生の研究にホップフィールド氏、ヒントン氏は深く関係し、本書では先生の視点から両氏についても語られています。


~こぼれ話3 深層学習の起源~より抜粋
 2018 年のチューリング賞は,G. Hinton, Y. LeCun, Y. Bengio の3 者に与えられた.深層学習の功績に対する受賞である.チューリング賞は代々コンピュータ科学に対して与えられてきたが,時代も移り深層学習などニューラルネットワークに関係するものにも与えられるようになった.画期的なことと言えよう.
 ところがこの受賞に異議を唱えたのが,スイスの研究者,J. Schmidhuber である.

(中略)

 さらに彼は深層学習の源流を詳しく調べ,多くの文献を含む膨大なレポートを作成した.ここで,確率的勾配降下オンライン学習法の源流の一つは,私の1967 年の論文にあること,さらに最初の多層パーセプトロンの学習のシミュレーションは私と斎藤君によって1968 年に発表されていることを発掘し,これを明記している.また,のちに述べる連想記憶モデルについても,Hopfield に先立って甘利が理論を提出していると言い切った.

(後略)

経歴

1958年
東京大学工学部 応用物理学科 数理工学コース卒業
1963年
東京大学大学院 数物系研究科 応用物理学専攻 博士課程修了 工学博士
1963年
九州大学工学部 通信工学科助教授
1967年
東京大学工学部 計数工学科助教授
1975年
米国マサチューセッツ州立大学 客員研究員
1981年
東京大学工学部 計数工学科教授
1994年
理化学研究所 国際フロンティア研究システム 情報処理研究グループ ディレクター
1996年
東京大学定年退職・名誉教授
2003年
理化学研究所 脳科学総合研究センター センター長
2008年
理化学研究所 脳科学総合研究センター 特別顧問
2009年
理化学研究所 脳科学総合研究センター シニア チームリーダー兼務
2011年
瑞宝中綬章受章
2012年
文化功労者
2018年
理化学研究所・栄誉研究員
2019年
文化勲章受章
現在
東京大学名誉教授
国立研究開発法人理化学研究所栄誉研究員
帝京大学先端総合研究機構特任教授
主要著訳書

『計算機科学入門』(共訳,サイエンス社)

『新版 情報幾何学の新展開』(サイエンス社)

『深層学習と統計神経力学』(サイエンス社)

『神経回路網モデルとコネクショニズム』(東京大学出版会)

『シリーズ脳科学』(監修,東京大学出版会)

『情報理論』(ちくま学芸文庫)(筑摩書房)

『神経回路網の数理-脳の情報処理様式』(ちくま学芸文庫)(産業図書)

『情報幾何の方法』(共著,岩波書店)

『Information Geometry and Its Applications』(Springer)

『Information geometry of Wasserstein statistics on shapes and affine deformations』(共著,Springer)

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なぜいま数理全盛の時代なのか?

その1
大規模・複雑なシステムを構築・最適化可能

 現代の高度情報化社会に暮らす私たちの身のまわりでは、大規模・複雑化したシステムが安全かつ効率的に運用・制御されています。これらは機械・電気電子・化学・航空宇宙・材料工学・土木交通・経済金融・医療など様々な専門分野の技術が融合した形態を取っているため、複雑なシステムの最適化が必要です。これらに対し、数理、すわなち数理工学の手法は、数学と物理学に基礎をおき、分野を横断して複雑な問題を数理モデル化し、効率的に解くための強力なツールとして機能しているのです。

その2
生成AIのしくみも数理

 ChatGPT(OpenAI)、Gemini(Google)、Copilot(Microsoft)、Claude(Anthropic)など画期的な生成AIが次々と登場し、ビジネスの世界で積極的に導入され、世界的に注目を集めるようになりました。これらの生成AIは特徴の違いはあれど、大規模言語モデル(LLM:Large Language Models)という膨大なテキストデータと高度な深層学習(ディープラーニング)技術を用いて構築された自然言語処理(NLP:Natural Language Processing)と呼ばれる分野における革新的な技術が搭載されています。これら生成AIのしくみも数理工学の手法が基盤になっているのです。

その3
国も数理・データサイエンス・AI教育を推進する時代
 令和3年、内閣府、文部科学省及び経済産業省において「数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度」というものが創設されました。デジタル時代の「読み・書き・そろばん」である数理・データサイエンス・AIに関する、大学(短期大学含む)・高等専門学校の教育プログラムのうち、一定の要件を満たした優れた教育プログラムを文部科学大臣が認定/選定することによって、大学等が数理・データサイエンス・AI教育に取組むことを後押ししています。
メリット
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こんな方にオススメ

  • AIや深層学習、ニューラルネットワーク、数理工学、脳科学などのテーマに興味があり、その理論や発展の背景をもっと勉強したい。
  • 世界的に評価されている甘利先生の65年を超える研究成果の集大成とその研究人生に触れてみたい。

  • 独創的な研究成果や仕事のアウトプットを出すためのヒントがほしい。
  • 若い世代の研究者・開発者またはそれを志す学生の方
  • 数理の手法を用いて現象を記述し、問題解決をしたい。
  • 数理の世界にどっぷり浸かって堪能したい。
  • 2024年ノーベル物理学賞に関連する理論や発展の背景をもっと知りたい。
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ノーベル物理学賞級!
65年を超える独創的な研究で世界のAI分野をリードした
甘利先生の集大成

東京大学名誉教授
理化学研究所・栄誉研究員
甘利 俊一 著
定価:
3,190 円(本体:2,900円+税)
または

目次

第1章 数理工学への入門 ― 大学院時代
  1.1 数理工学の門を叩く
  1.2 数理コースは苦闘する
  1.3 自由な世界
  1.4 電気回路網のトポロジー ― ホモロジー,コホモロジーと双対性
  1.5 連続体力学 ― 非リーマン塑性論
  1.6 信号空間の情報理論
  こぼれ話1 近藤一夫小伝
  こぼれ話2 コンピュータと私

第2章 AI研究と数理脳科学の原点 ― 九州大学時代
  2.1 自由の天地 九州大学
  2.2 機械学習 ― 確率的勾配降下法の始まり
  こぼれ話3 深層学習の起源

第3章 東京大学へ ― 激動の時代:神経回路網の数理
  3.1 東京大学へ戻って
  3.2 統計神経力学の始まり
  3.3 神経集団の力学
  3.4 統計神経力学の基礎
  3.5 連想記憶モデル
  3.6 初めてのアメリカ
  3.7 神経場のパターン力学
  3.8 神経回路網の自己組織化
  3.9 神経場の自己組織化
  3.10 統計神経力学
  こぼれ話4 外国旅行の想い出

第4章 情報幾何の始まりと展開
  4.1 情報幾何のできるまで
  4.2 確率分布族のなす空間 ― リーマン空間と双対接続
  4.3 ダイバージェンスと情報幾何
  4.4 双対平坦空間とBregmanダイバージェンス
  4.5 統計的推論の高次漸近理論
  4.6 検定の高次漸近理論
  4.7 高次漸近理論は有効か,最尤推定は最良か?
  4.8 時系列と線形システムの情報幾何
  こぼれ話5 長岡浩司の幻の論文
  こぼれ話6 ロシアの科学と私
  こぼれ話7 秘書列伝

第5章 世界への進出 ― ニューロブーム,バブル期とその崩壊
  5.1 第2次ニューロブームの到来
  5.2 学界の国際政治の暗部
  5.3 ヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラム
  5.4 リアルワールドコンピューティング計画
  5.5 文部省の重点研究
  5.6 Boltzmann機械と情報幾何
  5.7 機械学習
  5.8 局外母数のある統計モデルとNeyman-Scott問題
     :セミパラメトリック確率モデルの幾何

  5.9 比例係数の問題
  5.10 神経パルス列の発火特性
  こぼれ話8 京都賞
  こぼれ話9 私を超えていった研究者:川人光男と合原一幸
  こぼれ話10 白タク事件

第6章 理化学研究所 ― 研究者の天国
  6.1 理化学研究所へ
  6.2 独立成分分析と情報幾何
  6.3 神経スパイクの高次相関と階層モデルの情報幾何
  6.4 自然勾配学習法
  6.5 センター長時代 ― 管理の仕事
  6.6 情報統合と意識の情報幾何
  こぼれ話11 研究者倫理と盗作疑惑あれこれ

第7章 研究は私の趣味 ― 退官後の研究
  7.1 統計神経力学
  7.2 Wasserstein情報幾何
  7.3 3層パーセプトロンの学習とWasserstein幾何
  7.4 未解決の問題 ― 多端子統計推論
  こぼれ話12 甘利一族

あとがき
文献一覧
索引

この書籍の出版社は?

サイエンス社グループ(サイエンス社・新世社・数理工学社)

サイエンス社・新世社・数理工学社は「サイエンス社グループ」を構成しています.

サイエンス社は高名な山内恭彦博士に命名して頂き昭和44年(1969年)に創業した出版社です.

出版分野は社名のイメージに近いパブリッシャーカラーを創るため,自然科学・情報科学・工学などの理工系学術専門書ならびに雑誌「数理科学」の刊行を手始めに,現在は法学・経済学・経営学・会計学・心理学などの社会人文科学系全般にわたる学術専門書を刊行しています.

それぞれの分野で第一級のすぐれた著者陣の力強いご支援をいただき,最良・最高の書籍・雑誌をめざして日々企画編集につとめています.

社会科学系出版の新世社,工学系出版の数理工学社が刊行する書籍はサイエンス社が発売元として頒布しています.

会社概要

会社名
株式会社 サイエンス社
代表者 森平敏孝
所在地

〒151-0051

東京都渋谷区千駄ヶ谷1-3-25

資本金 1000万円
創業 昭和44年9月(1969年)
関連会社 株式会社 新世社(社会科学系出版)

株式会社 数理工学社(工学系出版)
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主な刊行物

大学教科書を中心とした多岐にわたる分野の専門書

 1969年の創業以来,自然科学・情報科学・工学などの理工系学術専門書に加え,法学・経済学・経営学・会計学・心理学などの社会人文科学系全般にわたる学術専門書を刊行しています.

雑誌「数理科学」
2006年度 日本数学会出版賞受賞
科学の最前線を紹介する月刊誌

 自然科学と社会科学はいまどこまで研究されているか,つねに科学の最前線を明らかにし,大学・企業で注目を浴びている雑誌です.
毎月20日発売 B5判 約80ページ 定価(本体:954円+税)

サイエンス社といえば、黄色い演習書

 高校からの接続を意識した構成で自習や試験対策,大学院入試対策までレベルに合わせたラインアップを揃えており,詳しい解説・解答にも定評があります.
 特に人気の演習書は,数学と物理学。中には累計販売数が13万5千部を超える超ロングセラー演習書もあります.

SGCライブラリ

 近年,特に大学理工系の大学院の充実はめざましいものがあります.しかしながら学部上級課程や大学院課程の学術的なテキスト・参考書はきわめて少ないのが現状です.
 本ライブラリは,これらの状況を踏まえて,数理科学諸分野および関連する領域から現代的なテーマやトピックスを順次とりあげ,時代の要請に応える魅力的なライブラリを構築しようとするものです.

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情報幾何学・人工知能・神経回路網理論

・AI研究に活用されている情報幾何学を創始
神経回路網理論の数学的理論を構築
・第一人者として数理脳科学の分野でも多大な貢献

 これらの総括的な解説となる「理論面」これらの研究と理論がどのように絡み合ってAIの発展に寄与してきたのか、その「舞台裏」に迫る。
 甘利先生の65年を超える研究生活の集大成とこの偉大な研究者から数理全盛の現代に送るメッセージ。
東京大学名誉教授
理化学研究所・栄誉研究員
甘利 俊一 
定価:3,190 円(本体:2,900円+税)