《層》は数学の様々な文脈で出てくる超重要概念です.私が層と初めて出会ったのは層係数コホモロジー(チェックコホモロジー)で,代数的な操作と幾何的な意味合いの対応がよくわからず,層とコホモロジーのダブルパンチに私は濃霧の中を彷徨う感覚でした.層の機能的な話がわかっても,「で,結局層ってなんなんだろう?」とフワフワした状態が長く続いた記憶です.
本特集では初学者向けの入門的記事から多様な数学分野にて層が活躍する様子を,第一線で研究されている先生方が解説しています.魅力溢れる層の理論を存分に楽しめると同時に,「層の正体」を掴む一助になると思います.
私は多様体と聞くと暗に滑らかで「きれいな」空間を思い浮かべる(絵として描くのは種数2の閉曲面)のですが,人によって多様体に抱くイメージは文字通り多様だと思います.本特集を読めば,そのイメージがより鮮明になり深みを帯びること間違いなしです.
また,個人的に多様体の話題の中で特に目を惹かれるのが「次元による個性」で,4次元が他の次元とは大きく異なる様相を呈するのがとても不思議で面白いです.
私が圏論の一端に初めて触れたのはホモロジー代数を勉強していたときでした.可換図式や完全系列で攻めていく証明スタイルがとても楽しく,普遍性という機能で様々な数学概念が統一的にスッキリと記述できることは驚きと感動でした.
本特集では圏論を学んだ先に拡がるディープな世界を,多様な分野の先生方が解説しています.圏論が圏論以外のところで大活躍する様子が気になる読者の方,必見です!また,特集おとりまとめの谷村省吾先生による,とてもわかりやすい入門記事もありますので,初学者の方もぜひ本特集で圏論へ入門してはいかがでしょうか.可換図式と普遍性が織り成す魅惑の世界がそこには拡がっています.
個人的には原稿を読んでいて「圏化」というキーワードが気になりました.いつかKhovanovホモロジーをきちんと勉強してみようと思います.
代数トポロジーにおいてホモロジー論と双璧をなすホモトピー論の圏論的視点による解説書で,私の恩師の師匠の著なので思い入れがあります.私が学生の頃にこの本と出会っていたら,「日本語でモデル圏の理論が学べるなんて……」と感涙していたでしょう.
一般にホモトピー群の計算はホモロジー群よりもずっと難しく,球面のような単純な空間でさえその計算はとても複雑なのが興味深いです.それだけホモトピーには意味のある深い情報=空間の本質が内包されているのかなと思います.代数トポロジーに興味関心のある方,モデル圏に入門したい方,可換図式の議論が三度の飯より大好きな方,必読です!
「集合・位相」は数学系の学部では「線形代数」「微分積分」と並ぶ基礎科目ですが,最も抽象度が高く苦手に感じる学生さんもいるのではないでしょうか?
集合・位相はいろいろな具体例や問題,反例に触れて「抽象と具体を結び付ける訓練」を経て,理論を自分の血肉にすることが肝要だと思います.例題形式で記述されている本書を読破すれば,進んだ数学書を読む基礎体力が確実に身に付くはずです.
また,本書は幾何学的群論や逆極限など発展的トピックも随所で扱っているのも魅力的です.みなさんも本書でトポロジーの世界に入門してはいかがでしょうか.
ちなみに私は位相空間論が楽しくて数学が好きになりました.推しの空間(のクラス)はENRです.
私は線形代数の心をこの本で学びました.金子先生の語り口で物語調に書かれていて,抽象的なベクトル空間の議論や,その中の定義・定理の本質的意味合いも言葉としてスッと頭の中に入ってきます.線形代数をディープに学びつつ,読み物としても楽しめる貴重な数学書だと思います.
初学者におすすめなのはもちろん,線形代数を一通り学んだ人でもいろいろと再発見があると思います.
ド・ラームコホモロジーで登場する概念という印象が強かった微分形式が,実に多様な数理分野で活躍していることに驚かされました.
微積分と線形代数を一通り学習した後の次のステップにぜひおすすめです!

